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一般

2022年12月27日 (火)

過労死(国際版)の発刊

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 過労死弁護団全国連絡会議は、日本の過労死問題について、世界の人々に理解を広げるため、2022年12月に「KAROSHI―How Overwork,Stress and Harassment Destroy People」(旬報社)を発刊しました。
 同時に邦文の「過労死―過重労働・ハラスメントによる人間破壊」も発刊しています。

内容は、
 第1部 過労死と過労自殺の事例
  1  トヨタの事例
   1 はじめに
   2 設計労働者の過労自殺事件
   3 生産ラインの労働者の過労死事件
   4 パワーハラスメントによる自殺事件
  2  遺族は語る
   1 いのちより大切な仕事はない
   2 日本社会に問う-システムエンジニアの息子は
   3 教師の過労死について
   4 大手広告代理店 電通 新入社員 高橋まつり事件

 第2部 過労死と過労自殺の分析
   1 精神医学・公衆衛生学から見た過労死・過労自殺
   2 過労死研究の経過と現代の課題
   3 国際人権の視点から見た過労死と過労自殺の問題
   4 ジェンダーの視点から過労死を考える
   5 過労死110番運動の歩みと過労死防止の課題
となっています。

 私は第2部の5の過労死110番運動の歩みと過労死防止の課題を執筆担当しました。
 過労死問題は全世界的な課題となっており、日本からこの問題を発信するにあたってこの書が大きな役割りを果たすことを期待しています。
 購読希望の方は、このブログのプロフィールにある私のメール・携帯等の連絡先からご一報頂ければ幸いです。

 

 

2022年5月 9日 (月)

「過労死・過労自殺の救済Q&A」の第3版が発刊されました

大阪過労死問題連絡会の弁護士が、過労死・過労自殺の労災認定、企業賠償責任と予防等について書いた「過労死・過労自殺の救済Q&A」の第3版が発刊されました。
令和3年9月の脳・心臓疾患の認定基準の改正等を踏まえて大幅に改訂したものです。
過労死・過労自殺等のご遺族や、当事者の方の救済に大きな力になる本です。
この本の紹介に代えて、私がこの本の最初のページに、編集代表として「第3版の発刊にあたって」を引用します。

 

あなたがこの本を手にされたのは、大切な方を亡くされ、その生前の働き方からして、仕事による過労がその死を招いたに違いないと考え、労災申請をしたい、更には労基署長等行政手続では業務外とされたが納得できず、訴訟で業務上と認めさせたいと考えたからでしょうか。
あるいは、過重な長時間労働をさせた会社の責任を認めさせようと、損害賠償請求の訴訟を提起することを考えたからでしょうか。
大阪過労死問題連絡会は、働き過ぎによる過労死・過労自殺に対して労災認定や企業補償を認めさせ、被災者やその家族を救済するとともに、働き過ぎ社会を考え、過労死をなくしていくことを目的として1981年6月に結成されました。関西地方の弁護士を中心とする、過労死・過労自殺の遺族、医師、研究者、労働組合、労働団体等によるゆるやかなネットワークです。
当連絡会を結成して以来、過労死・過労自殺として業務上認定させたい、企業に責任をとらせたいとの思いを大切にして、多くの事件で被災者・遺族の労災認定や企業賠償責任についての実績を積んできました。
労災認定も企業賠償責任も、被災者・遺族の救済を広げる方向に進んでいます。最高裁判所も、電通過労自殺判決(平成12年3月24日)で「労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。」と断言しています。
この書は、労災申請をするにあたっての手続や基礎的な知識をわかりやすく解説しています。同時に労災の認定基準の問題点を明らかにし、それを乗り越え認定させるにはどうしたらよいか、さらに会社の責任を追及するには何をなすべきかについて述べています。
また、当連絡会が結成後40年余りの間、当連絡会の弁護士が多くの事件に取り組む中で得た知識とノウハウを集大成したものです。
なお、本書は2011年7月に初版が、2016年6月に第2版が刊行されたものですが、2021年9月に厚生労働省の脳・心臓疾患についての認定基準が、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に判断するなど、被災者・遺族の救済を一歩進める方向で20年ぶりに改正されました。また、2020年5月には精神障害・自殺の認定基準ではパワーハラスメントについて明確化する改正が行われ、2020年9月の労災保険法の施行により副業・兼業している複数事業労働者についての救済と補償が拡大しました。
最新の認定基準や認定例、判決等を踏まえた過労死・過労自殺等の認定や、企業賠償責任の追及のための手引として、あなたが、過労死・過労自殺の手続のなかで壁にぶちあたり、めげそうになったとき、この書が力になり、良い結果に結びつけば望外の幸せです。

 

書店等で入手できないときや、この本の内容についてのご質問等がありましたら、このブログのプロフィールにある私の連絡先までご一報下さい。

2021年2月26日 (金)

近畿財務局職員だった赤木俊夫さんの自殺と、残された「国家公務員倫理カード」

近畿財務局に勤務していた赤木俊夫さんの手帳の平成29年2月26日(日)の欄には、「統括から連絡を受け出勤 本省からの指示」と記載されている。

この日から、俊夫さんの森友問題に関する決裁文書の改ざんについての「抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか」(俊夫さんの手記)との精神的苦悩が始まり、自殺という悲劇に至っている。

今、赤木さんの自殺についての国と佐川元理財局長を被告とする国家賠償請求訴訟の代理人として、生越照幸弁護士とともに関与している。

代理人になる前に俊夫さんの自殺を報道で知ったとき、厚労省の精神障害・自殺の労災認定基準で、心理的負荷が「強」(業務上と認められる)と評価される出来事が頭に浮かんだ。
「業務に関連し、反対したにもかかわらず、違法行為を執拗に命じられ、やむなくそれに従った」
俊夫さんが違法な文書改ざんを命じれられたときの状況は、認定基準が定めるこの出来事そのものだった。

俊夫さんは、平成29年の手帳のホルダーに、何年も手帳に入れたためかすり切れた「国家公務員倫理カード」を大切にはさみこんでいた。

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また、「僕の契約相手は国民です」と生前常々語っていた俊夫さんにとって、決裁文書の改ざんという違法行為に手を染めることの苦悩はいかばかりであったか。
訴訟では、俊夫さんが文書改ざんの証として作成していた「赤木ファイル」についての文書提出命令が争われている。
「赤木ファイル」は、俊夫さんの「抵抗したとはいえ関わった者」としての責任感と良心が集約されているのではないか。
俊夫さんが大切にしていた「国家公務員倫理カード」には、「利害関係者との間では、酒食等のもてなしなど、供応接待を受けること」は禁止されていることが明記されている。

総務省では、この国家公務員倫理規程に幹部ら11名が懲戒や訓告等の処分を受ける事態が生じている。

俊夫さんの自殺についての訴訟は、決裁文書改ざんの事実解明とともに、国家公務員としての国民への責任のあり方を問う訴訟でもある。

2020年11月 4日 (水)

過労死をなくすためには

なくして、はじめて知ることが、ひとに始まるなら。
平和のためには、戦いの物語りが
幸せになるためには、不幸せの物語りがもっと、
要るのだろうか。(宮尾節子)

大切な人を過労死・過労自殺でなくした遺族の「物語り」を多く聞いてきたが、未だそれは絶えることがない。
どうしたら、過労死の「物語り」をなくすことができるのか。過労死問題に取り組んで40年、このことをいつも考えてきた。
会社や工場の入口に労基法立入禁止の立札がある「ブラック企業」が過労死を生み出すのか?
労基法が守られていても過労死ラインの時間外・休日労働を認める労使合意の三六協定が結ばれているせいか?
いずれも、過労死を生み出す要因の1つだが、それが最も重要な要因であるとは思えない。
過労死が職場で生じたとき、企業のトップの多くは、当社では労働時間のコンプライアンスをあれほど徹底していたのに、とのため息まじりの声をよく聞く。
労働者の心身の健康が、労務管理上の最重要課題に多くの企業では位置づけられているにも拘らずなぜ生じるのか。
「労働時間の適正把握の懈怠」
出退勤が、タイムカード、ICカードやパソコンのログ等の客観的な記録で把握されることなく、社員の自己申告によりなされており、過少申告されていることこそが過労死の「物語り」を生み出している。
大手広告会社の女性新入社員が、三六協定の時間外労働の限度時間が月70時間であったため、過労自殺する前の時間外労働を69.9時間、69.8時間として申告していたのは何故だったのか。
労働時間の適正把握が怠られれば、労働時間のコンプライアンスの網にかからない心身の健康を損ねる長時間労働が労働現場で生まれ、それが放置されてしまう。
過労死の物語りをもうこれ以上生まないためには、労働時間の適正把握という、あたりまえのことをトップが率先して取り組むことが大切だ。

2020年4月21日 (火)

新型コロナウイルス感染と労災認定

1 新型コロナウイルス感染が労災となる場合
新型コロナウイルス感染が、世界的なパンデミックの状況となり、日本でも爆発的感染の瀬戸際の状況が続いている。
感染により健康を損ねたり、不幸にも死亡に至った場合の労災認定の問題について考えてみよう。
労災保険で業務上と認められ、労災保険の補償の対象となるキーワードは、「業務内在危険の現実化」である。
労働者が従事している業務そのものに感染リスクが内在しており、その結果現実に感染が生じ、肺炎更には死亡に至ったという関係が認められるか否かである。
3つの類型が考えられる。

2 病院等の職員の感染
第1は、病院の医師、看護師等、感染した患者と直接接触する労働者についてである。
病院の職員は感染した、あるいはその疑いのある患者の治療にあたっている。
感染の危険は内在するどころか、現実に直面している最前線の現場だ。
患者の治療のなかで感染すれば、病院での業務に内在した危険が現実化した結果であり、業務上と認められる。
労災の実務では、
「・病院または診療所において患者の分泌物または排泄物等を介して感染したウイルス性肝炎等の伝染性疾患あるいは伝染性疾患ではなくても病原菌にさらされる業務(炊事婦、介助人等)に従事したことにより起きた細菌性中毒等の疾病
・介護施設において入所者、施設利用者等を介して又は訪問介護の利用者を介して感染した疥癬等の疾病」
とされており、労災補償の対象となる。

3 事業場での業務による感染
第2は、会社の社員が感染者であったため、他の社員が社内感染をした場合だ。
事務所、工場等、三密を回避できない事業場で、社内に感染者が生じている状況があれば、他の社員にとっては、事業場での就労環境に感染の内在危険のある現場である。
労災の実務では、
「・出張先(海外を含む。以下本節において同じ。)又は海外派遣先(海外派遣者特別加入対象者に限る。)において感染した伝染性疾患(いわゆる「風土病」を含む。)
・事業主が給した食物(給食、間食等)による食中毒」
は業務上とされているが、日本国内においても感染症がまん延している状況下では、職場での勤務そのものに感染の内在危険があり、業務上と判断される可能性がある。
そこで現実に感染が生じれば、業務内在危険が現実化したと評価できよう。

4 通勤時の混雑した公共交通機関での感染
第3は、通勤のため混雑した電車・バス等公共交通機関で感染した場合だ。
感染者が急増するなかでは、公共交通機関による通勤には高い感染リスクが内在している。
通勤にともなう内在危険が現実化したものとして、通勤災害として労災補償の対象と考えることができるのではないだろうか。

5 新型コロナと労災を関連づけて考えてみよう
現在は、感染の広がりを国・自治体の責任と国民一人一人の自覚でくいとめることが課題だ。
しかし、この問題と労災と関連づけて考えることも大切だと考える。

2020年1月24日 (金)

過労死問題に全力投球した記者が宗教専門紙の社長さんに

今日(1月24日)の毎日新聞朝刊の「ひと」の欄に、過労死の集まりなどで顔を合わせることの多い、元サンケイ新聞の小野木康雄記者の人なつっこい顔をみつけた。
小野木さんは「過労死の国・日本」のシリーズで、過労死遺族の悲しみ、怒りとともに、それを防止すべき国・企業の対策のあり方と、過労死防止法制定について、鋭い視点をもって、熱のこもった記事をサンケイ新聞に掲載してきた。
過労死の遺族らから信頼され、忘年会では「アイドル」とも言うべき存在として、遺族の悲しみを癒やす存在であった。
小野木さんは記者から転進し、京都市の宗教専門紙である文化時報社の社長さんに就任したとのこと。
過労死という理不尽な死を遂げた方々への思いと遺族の心を宗教者の祈りにつなげ、過労死をなくし、働く人の尊厳が守られる世の中の一助となる記事に、これからも全力投球されることを期待しています。

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2020年1月15日 (水)

「過労死110番」(岩波ブックレット)の発刊          ―過労死等の遺家族救済の30年間の歩みを―

大阪過労死問題連絡会は、1981年7月に「急性死等労災認定連絡会」の名称で発足しました。
当時は過労死という言葉もなく「急性死」、労災認定は「ラクダが針の穴を通る」より困難な時代で、企業への損害賠償など考えられない時代だったため、「労災認定」という会の名称でした。

1988年4月に、全国に先がけて「過労死110番」に取り組み、それが全国に広がるなか、過労死問題はその遺族、被災者らを中心としたノーモアカローシの運動として、労災認定、企業賠償責任の追及、更に、過労死等防止対策推進法の制定と、その歩みを進めてきました。

過労死110番の30年余の歩みをふりかえる、2018年4月に開催されたシンポジウムの内容が、岩波書店のブックレットとして発刊されました。

このシンポジウムの後2018年8月に急逝された、連絡会の会長であった森岡孝二関西大学名誉教授の『過労死の現状と「働き方改革」の行方』と題する、遺稿とも言える講演内容や、この問題をマスコミとして逸早く注目したNHKの織田ディレクターの発言、ご遺族らの発言とともに、私の「過労死110番の30年」の当日の講演も掲載されています。

過労死問題の過去、現在、未来をコンパクトに通読できるブックレットです。
一読して頂ければ幸いです。

 

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2019年7月19日 (金)

文科省の無給医の実態調査結果は氷山の一角にしかすぎない

給料なしで、医師が大学病院で、他の勤務医同様の診療行為に従事させられている。
そんな医師の勤務現場の非常識な実態が明らかにされつつある。
文部科学省は本年6月28日「大学病院で診療に従事する教員等以外の医師・歯科医師に対する処遇に関する調査結果」を、NHKによる無給医問題の報道を受けて発表した。

これによれば、
①給与を支給している者(24712名、104大学病院)
 ・リサーチアシスタント、ティーチングアシスタントとしての支給がある者の取扱い
②合理的な理由があるため給与を支給していない者(3594名、66大学病院)
 ・自己研鑚・自己研究の目的で診察従事
 ・大学病院での診療従事分も含めて本務先から給与支給
③合理的な理由があるため給与を支給していなかったが今後支給するとした者(1440名、35大学病院)
④合理的な理由がなく給与を支給していなかったため遡及を含め給与を支給するとした者(751名、27大学病院)
⑤引き続き精査が必要と大学が判断した者(1304名、7大学病院)
となっている。http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1418468.htm

 

この調査は、大学が社労士や弁護士等の法律専門家の意見を聴いたうえで、大学が判断した結果に基づいている。
無給医は③④の2191名となっているが、はたしてそうなのだろうか。
私は何人かの大学院生の無給医の方からの相談を受けているが、その話によれば、有給であったとしても、月数万円のリサーチアシスタント、あるいはティーチングアシスタントとしての僅かな「給与」の下に、大学病院での他の勤務医と同様の勤務シフトの下、診察行為に従事している大学院生は多い。
時間給1500円余り、月8時間(月額1万数千円)の「給与」の下、週4日8:30から17:00の勤務に就いている者もいる。
この調査結果では、これらの大学院生らの医師も、大学の判断では①の給与を支給している者に含まれている可能性が高い。
また②の「合理的理由」として「自己研鑚・自己研究の目的」があげられているが、日常の診察行為に組み込まれて勤務している者についても、大学院生としての演習科目としての「自己研鑚・自己研究」であるとして、「合理的理由」があるとされてはいないだろうか。
更に、「合理的理由」のうちには、「大学病院での診療報酬分も含めて本務先から給与支給」という理由もあげられている。大学病院で支払うべき給与も、本務先の病院で支給しているのだとしたら、大学から本務先の病院への給与のつけまわし(本務先の医師配置に強い影響力を有する医局に忖度してそのようなことが行われているのだろうが)であり、労基法の賃金の直接払いの原則に反する。

文科省の無給医の調査結果は、無給医の実態の氷山の一角を明らかにしたものの、その全体を明らかにしたものでなく、氷山の下には多数の無給医の実態が隠されている。

7月13日(土)に東京で、全国医師ユニオン主催の「無給医シンポジウム~実在、無給医!解決の道筋を探す!!~」が行われ、多くの無給医をはじめ医療関係者、弁護士、マスコミが参加し、私がかつて担当した鳥取大学医学部大学院生だった故前田伴幸さんの過労運転事故等について基本報告をしたうえ、月14日に及ぶ当直勤務に就いた無給医の報告や、会場からの、同僚の大学院生の無給医が精神的に病んで倒れたり、無給であることを認める文書を強要されているとの涙の報告もあった。
医師の勤務現場の非常識、いやそれに留まらない労働基準法を無視した、刑事罰の対象となる窮極の賃金不払労働の是正は、労基法違反について司法警察権を有する労基署、そして厚生労働省において、強制権限に基づき直ちに解決されるべき課題だ。

このシンポジウムをうけて、全国医師ユニオン・日本労働弁護団では、つぎのとおり「医師の長時間労働・無給医ホットライン」を実施する。

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2019年5月22日 (水)

『働きすぎの時代』(岩波新書)の中国での翻訳出版

過労死問題の著述と運動に尽力し、昨年8月に亡くなられた森岡孝二関西大学名誉教授の岩波新書『働きすぎの時代』が、中国で翻訳出版(タイトル『過労時代』)されたことを毎日新聞(5月20日朝刊)が報じています。
昨年の過労死防止学会(当時、森岡氏が代表)でも、中国、韓国の過労死関係者が、それぞれの国の働きすぎと過労死の現状を報告しました。
働きすぎ、そして過労死の問題が日本にとどまらず、グローバルな問題となっていることを示す記事として紹介します。

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2019年3月22日 (金)

公立学校教員の長時間勤務による心身の健康に「特区」をつくらないために

大阪府立高校の教員が、長時間勤務により適応障害を発病して休業に至ったことについて、大阪府に対する損害賠償(国家賠償)の訴訟を、本年2月25日に提訴しました。
公立学校の教員が、長時間勤務の下で過労死や過労自殺に至ったり、この件のように精神疾患を発病した件については、地方公務員災害補償基金支部(民間労働者で言えば労働基準監督署)で、公務による長時間勤務に起因したもの(公務上災害)として、公務上認定されている事案が多くあります。
民間では、長時間勤務によるものとして業務上として認定された過労死・過労自殺等については、ほぼ例外なく、遺族や被災者が企業賠償責任を追及し、損害賠償請求を認める判決が多数下されています。
私が過労死事件に40年間取り組んでいて、最も不思議に思っていたのは、公立学校、更には私立学校についても、教員の公務上(業務上)認定は多くされていても、損害賠償請求の提訴が見当たらないことでした。
この事件は、その問題に一石を投じる、小さい事件ながらも、大きい意義のある訴訟と考えています。
なぜ、教員について損害賠償請求がされることがなかったのか、公立学校の教員の教職員給与特例法(給特法)の問題、生徒のためにという教員の善意と生きがいで保たれている教員現場の状況、考えることがたくさんあります。
みなさんのコメントをお待ちしています。
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