2026年1月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ

« 教員の過労死等防止のために ―責任なくして予防なし―  | トップページ | 海外赴任者の過労死・過労自殺の問題点 »

2025年4月15日 (火)

出血性胃かいようの過労死の損害賠償請求訴訟での和解の成立

1 出血性胃かいようによる過労死について会社が安全配慮義務違反を認めた和解の成立
北陸電気工事株式会社富山支店で、60才の定年退職後、電気工事の現場代理人として働いていた当時62才の嘱託社員が、令和3年12月10日出血性胃かいようで失血死した。
この件につき、私が遺族の代理人として関与したが、富山労基署長は令和5年5月に業務上と認定したことは、先のブログで書いたとおりである。
この過労死につき、遺族は富山地裁に、会社の過重な長時間労働による過労・ストレスによるものだとして、安全配慮義務違反の責任を追及して提訴したが、会社は安全配慮義務違反はないとして争ってきた。
本年4月14日、遺族と会社との間に訴訟上の和解が成立した。内容は一部不開示とされた部分があるが、会社が安全配慮義務違反の責任があることを認め、遺族に解決金を支払うこととしている。
被災者の発症前の時間外労働時間は、労基署長が認定した時間によっても(遺族側は、より長時間であったと訴訟では主張したが)、
  発症前1か月目  122:43
  発症前2か月目  113:39
に及んでいる。

250415_20250416132601

2 消化器系疾患は過労・ストレス性疾患である
厚労省並びに過労死等を定義した過労死等防止対策推進法2条は、過労死等については脳・心臓疾患、精神障害・自殺に限定しており、胃かいよう等消化器系疾患については含めておらず、その認定基準も定められていない。
過労・ストレスが蓄積したとき、まず「胃がキリキリ痛む」など消化器系に症状が生じるのは、多くの働く者の実感であり、社会の常識と言えよう。
しかし、この件でご遺族が富山労基署に労災認定を求めて相談した際には、認定基準の対象疾病にはならないため労災認定されるのは難しいと回答され、一度は労災の請求をすることさえ断念している。しかし、あきらめることができず私への依頼につながった経緯がある。

3 企業、労働行政に求められる対策
今回の出血性胃かいようによる死亡についての労災認定に加えての、今回の会社が安全配慮義務違反を認めた和解の成立は、消化器系疾患を労働行政に対し「過労死等」として認め、その認定基準を定めることを迫るものである。同時に企業としての社員の「過労死等」防止対策に消化器系疾患にも配慮することを求めるものである。
厚労省は「過労死等」を先の防止法2条の定義を広げ、消化器系疾患や、多くの判例が重積している喘息死等の呼吸器系疾患を含むものとして、その認定の基準を定め防止対策を打ち出すべきである。

« 教員の過労死等防止のために ―責任なくして予防なし―  | トップページ | 海外赴任者の過労死・過労自殺の問題点 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 教員の過労死等防止のために ―責任なくして予防なし―  | トップページ | 海外赴任者の過労死・過労自殺の問題点 »