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2025年2月 7日 (金)

自衛官の過労死・過労自殺の公務上認定

私が担当している過労死・過労自殺事件のうちで、職種的に最も多いのは貨物自動車運転手、つぎに外食店社員になる。公務員関係の担当事件で最も多いのは自衛官になる。(別表参照)

【別表】            担当事案一覧
  所属 年令 死亡年月 死因 公務上認定 判定機関
①A氏 航空 49 H18.9  自殺  H22.4  部隊
②B氏 陸上 49 H19.3  心筋梗塞  H24.12  防衛大臣
③C氏 海上 25 H20.5  脳出血  H30.2  防衛大臣
④D氏 陸上 41 H26.2  自殺  R1.9  方面総監
⑤E氏 陸上 37 H30.3  自殺  R3.3  方面総監
⑥F氏 陸上 28 H25.5  自殺  H30.4  方面総監

自衛官の過労死・過労自殺、とりわけ過労自殺事件でとりあげられるのは、上司のパワハラによるものが報道等で多くとりあげられている。

私の担当した自衛官の過労自殺事件の経験からすると(別表のA、D、E、F氏)、長時間勤務のうえに上司の限度を超えた指導(パワハラ)により、自衛官としての誇りをないがしろにされるなか、そのしんどさと思いを組織のなかで同僚・上司らに伝えることなく自殺に至っている。

自衛官の長時間勤務が生じる原因は、公立学校の教員が月8時間の教職調整額が支給されるのみで時間外手当は支給されていないのと同様、自衛官についても基本給の俸給表に月21.5時間分が上積みされるのみで時間外手当の支給がない点にある。
その結果、勤務時間の適正把握がなされず、私が担当した事案は例外なく月100時間を超える時間外勤務が生じていた。
長時間勤務は被災隊員のみならず、同僚、更には上司にも及んでいる。そのストレスの圧力釜のような状況下での上司の限度を超えた指導が加わると言う構造のなか、過労死・過労自殺に追い込まれる状況が生まれているのではないだろうか。
過労死・過労自殺に倒れた隊員は、任務に対し真摯かつ誠実に向き合い、同僚、更にはパワハラをする上司に対してさえ他者配慮する性格である。

隊内でのパワハラ対策と同時に、一般労働者と同様、勤務時間管理を徹底することが、自衛隊における過労死等の防止のため不可欠である。

なお、自衛隊員についての公務上認定手続はつぎのようになっている。(詳しくは当ブログの表紙のプロフィールに連絡下さい。)

250207

 

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