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2020年4月24日 (金)

新型コロナ感染の労災認定についての厚労省の方針

新型コロナ感染による健康障害や死亡についての労災適用にとって壁となるのは、職場での同僚らからの感染(業務上災害)、あるいは通勤途上の公共交通機関の利用者からの感染(通勤途上災害)にしても、家庭や私生活ではなく、職場や交通機関で感染したことの立証が問題になる。
新聞報道(4月24日毎日朝刊)によると、コロナ労災についての労災認定にあたっては、職場や公共交通機関での感染ルートを厳格に特定できなくても、柔軟に解釈して労災認定する方針を固めたとしている。
業務や通勤での内在危険であるコロナ感染者の存在は、無症状の者も多く、PCR検査も限定してしか実施されていないため、感染ルートの立証による業務(通勤)起因性の立証は困難を極める。
その立証を緩和し、労災として認定するのは、どこに存在するか、どこで感染したかは目にみえず、医学的にも特定できないコロナ感染のルート特定の困難さを考えると、厚労省の方針は当然と言えよう。
業務やそのための通勤をしていた時期と、感染が推定される時期との間に関連性が認められ、私生活において感染した等、業務や通勤以外により感染した等、業務や通勤以外の確たる他原因によって発症したことが明らかでない限り認定すべきである。
新聞報道では、既に中国人観光客を案内したツアー関係者や、陽性患者を看護していた看護師から労災請求が3件なされているとのことである。
医療関係者らのリスクの下での献身的な勤務に応えるためにも、広い救済が求められる。

 

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2020年4月21日 (火)

新型コロナウイルス感染と労災認定

1 新型コロナウイルス感染が労災となる場合
新型コロナウイルス感染が、世界的なパンデミックの状況となり、日本でも爆発的感染の瀬戸際の状況が続いている。
感染により健康を損ねたり、不幸にも死亡に至った場合の労災認定の問題について考えてみよう。
労災保険で業務上と認められ、労災保険の補償の対象となるキーワードは、「業務内在危険の現実化」である。
労働者が従事している業務そのものに感染リスクが内在しており、その結果現実に感染が生じ、肺炎更には死亡に至ったという関係が認められるか否かである。
3つの類型が考えられる。

2 病院等の職員の感染
第1は、病院の医師、看護師等、感染した患者と直接接触する労働者についてである。
病院の職員は感染した、あるいはその疑いのある患者の治療にあたっている。
感染の危険は内在するどころか、現実に直面している最前線の現場だ。
患者の治療のなかで感染すれば、病院での業務に内在した危険が現実化した結果であり、業務上と認められる。
労災の実務では、
「・病院または診療所において患者の分泌物または排泄物等を介して感染したウイルス性肝炎等の伝染性疾患あるいは伝染性疾患ではなくても病原菌にさらされる業務(炊事婦、介助人等)に従事したことにより起きた細菌性中毒等の疾病
・介護施設において入所者、施設利用者等を介して又は訪問介護の利用者を介して感染した疥癬等の疾病」
とされており、労災補償の対象となる。

3 事業場での業務による感染
第2は、会社の社員が感染者であったため、他の社員が社内感染をした場合だ。
事務所、工場等、三密を回避できない事業場で、社内に感染者が生じている状況があれば、他の社員にとっては、事業場での就労環境に感染の内在危険のある現場である。
労災の実務では、
「・出張先(海外を含む。以下本節において同じ。)又は海外派遣先(海外派遣者特別加入対象者に限る。)において感染した伝染性疾患(いわゆる「風土病」を含む。)
・事業主が給した食物(給食、間食等)による食中毒」
は業務上とされているが、日本国内においても感染症がまん延している状況下では、職場での勤務そのものに感染の内在危険があり、業務上と判断される可能性がある。
そこで現実に感染が生じれば、業務内在危険が現実化したと評価できよう。

4 通勤時の混雑した公共交通機関での感染
第3は、通勤のため混雑した電車・バス等公共交通機関で感染した場合だ。
感染者が急増するなかでは、公共交通機関による通勤には高い感染リスクが内在している。
通勤にともなう内在危険が現実化したものとして、通勤災害として労災補償の対象と考えることができるのではないだろうか。

5 新型コロナと労災を関連づけて考えてみよう
現在は、感染の広がりを国・自治体の責任と国民一人一人の自覚でくいとめることが課題だ。
しかし、この問題と労災と関連づけて考えることも大切だと考える。

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