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2019年7月19日 (金)

文科省の無給医の実態調査結果は氷山の一角にしかすぎない

給料なしで、医師が大学病院で、他の勤務医同様の診療行為に従事させられている。
そんな医師の勤務現場の非常識な実態が明らかにされつつある。
文部科学省は本年6月28日「大学病院で診療に従事する教員等以外の医師・歯科医師に対する処遇に関する調査結果」を、NHKによる無給医問題の報道を受けて発表した。

これによれば、
①給与を支給している者(24712名、104大学病院)
 ・リサーチアシスタント、ティーチングアシスタントとしての支給がある者の取扱い
②合理的な理由があるため給与を支給していない者(3594名、66大学病院)
 ・自己研鑚・自己研究の目的で診察従事
 ・大学病院での診療従事分も含めて本務先から給与支給
③合理的な理由があるため給与を支給していなかったが今後支給するとした者(1440名、35大学病院)
④合理的な理由がなく給与を支給していなかったため遡及を含め給与を支給するとした者(751名、27大学病院)
⑤引き続き精査が必要と大学が判断した者(1304名、7大学病院)
となっている。http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1418468.htm

 

この調査は、大学が社労士や弁護士等の法律専門家の意見を聴いたうえで、大学が判断した結果に基づいている。
無給医は③④の2191名となっているが、はたしてそうなのだろうか。
私は何人かの大学院生の無給医の方からの相談を受けているが、その話によれば、有給であったとしても、月数万円のリサーチアシスタント、あるいはティーチングアシスタントとしての僅かな「給与」の下に、大学病院での他の勤務医と同様の勤務シフトの下、診察行為に従事している大学院生は多い。
時間給1500円余り、月8時間(月額1万数千円)の「給与」の下、週4日8:30から17:00の勤務に就いている者もいる。
この調査結果では、これらの大学院生らの医師も、大学の判断では①の給与を支給している者に含まれている可能性が高い。
また②の「合理的理由」として「自己研鑚・自己研究の目的」があげられているが、日常の診察行為に組み込まれて勤務している者についても、大学院生としての演習科目としての「自己研鑚・自己研究」であるとして、「合理的理由」があるとされてはいないだろうか。
更に、「合理的理由」のうちには、「大学病院での診療報酬分も含めて本務先から給与支給」という理由もあげられている。大学病院で支払うべき給与も、本務先の病院で支給しているのだとしたら、大学から本務先の病院への給与のつけまわし(本務先の医師配置に強い影響力を有する医局に忖度してそのようなことが行われているのだろうが)であり、労基法の賃金の直接払いの原則に反する。

文科省の無給医の調査結果は、無給医の実態の氷山の一角を明らかにしたものの、その全体を明らかにしたものでなく、氷山の下には多数の無給医の実態が隠されている。

7月13日(土)に東京で、全国医師ユニオン主催の「無給医シンポジウム~実在、無給医!解決の道筋を探す!!~」が行われ、多くの無給医をはじめ医療関係者、弁護士、マスコミが参加し、私がかつて担当した鳥取大学医学部大学院生だった故前田伴幸さんの過労運転事故等について基本報告をしたうえ、月14日に及ぶ当直勤務に就いた無給医の報告や、会場からの、同僚の大学院生の無給医が精神的に病んで倒れたり、無給であることを認める文書を強要されているとの涙の報告もあった。
医師の勤務現場の非常識、いやそれに留まらない労働基準法を無視した、刑事罰の対象となる窮極の賃金不払労働の是正は、労基法違反について司法警察権を有する労基署、そして厚生労働省において、強制権限に基づき直ちに解決されるべき課題だ。

このシンポジウムをうけて、全国医師ユニオン・日本労働弁護団では、つぎのとおり「医師の長時間労働・無給医ホットライン」を実施する。

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