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2019年6月18日 (火)

過労運転事故で亡くなった大学院生の無給医

この過労運転事故が生じた要因は、病院での連日の7時頃から22時、更には徹夜に及ぶ長時間勤務がある。
この勤務は、院生の「演習」として無給であったことは先に述べた。
Mさんの勤務を更に過酷なものにしていたのは、無給医であるがため、学費や生活費を得るため、関連病院でのアルバイトをしていたことだ。休日のない連続勤務がここから生じている。
Mさんが無給医であることについて、医局の医局長は勿論、他の勤務医、そして院生自らも、当時疑問を感じていなかった。
うかつにも、この事件を代理人として担当した私も、Mさんの常軌を逸した長時間勤務(といっても、勤務医の現場では珍しいことではなく、私が担当する他の勤務医、研修医等の過労死・過労自殺事件でも同様の長時間労働が認められる)に目が向いてしまい、その長時間労働が、無給医であるため休日もなく、関連病院のアルバイトをしなければならないことから生じていたことまで掘り下げることができなかった。
NHKの報道もあって、院生らの無給医問題が注目されている。
Mさんの事件も本年6月14日のNHKの「ニュースウォッチ9」でとりあげられている。
(https://www.nhk.or.jp/nw9/digest/2019/06/0614.html)
院生の医師らからすると、患者の命を守り、守るためのスキルを研鑚する「崇高な使命感」が無給であることの問題が、表面化しなかった要因と言えよう。
病院にとっては、医局の徒弟制度のような古き残滓の意識の下、無給医に依存する制度を温存してきたと言えよう。
病院での診療行為は、病院の指揮命令の下になされているのは当然であり、大学と院生との「在学契約」と言ったとしても、実態は雇用契約に他ならないのは労働法の常識である。
無給医は、無給であるがために長時間勤務と直結する。
勤務医についても、労働者と言われると違和感を覚えるとの見解もある。
医療界にあってより労働者性があいまいにされ、労働者としての権利が認められない立場にある。
厚生行政、労働行政のいずれの立場からも、全国で何千人にも及ぶ無給医の解消のため即時に取り組むことを求めたい。
医療の労働現場全体をみても、長時間勤務により勤務医の心身の健康が壊れるか、長時間勤務を是正すれば医療、とりわけ地域医療が壊れるかの二律背反が生じていることは、私もかねてから述べてきた。
無給医問題は、社会の常識から逸脱した医療現場の最大の歪みと言っても過言でない。

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