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2018年6月27日 (水)

過労死認定についての二重就労者の勤務の不当な厚労省の取扱いの是正を

昼と夜の複数の職場での仕事をかけもちで生活を支えている非正規就業の若者が少なくない。
その若者が、過労死・過労自殺したとき、国(厚生労働省)は労働時間を算定するにあたっては、主たる職場での労働時間のみしか過重性を評価しないとしている。

例えば、脳・心臓疾患を発症前の、
 A職場の労働時間 月200時間
 B職場の労働時間 月100時間
のとき、A・B職場の労働時間を合算すれば月300時間となり、時間外労働は月100時間を超え、過労死と認定されることになる。

しかし、国はA職場の月200時間しか評価しないから、過労死と認められないとしている。
労災保険法は、労基法の災害補償制度を保険化した制度だから、個々の事業主(使用者)毎に過重性を評価するとしているのだ。

また、A職場の労働時間のみで過労死として認定されても、それに対する労災保険の遺族補償年金の額は、A職場での賃金のみで算定される取扱いとなっている。
非正規就業の若者の兼業・副業のみならず、正社員についても兼業・副業を認めようとする動き(参照)があるなか、このような過労死等の労災認定、並びに補償額についての取扱いは直ちに是正されなくてはならない。
私も、勤務医が関連病院で兼業としてアルバイト勤務するなかで過労で倒れた事件を担当している。

実は、平成20年までは、厚労省も複数の事業場で勤務している労働者が過労死したときには、複数事業場の労働時間を通算して業務上外の判断をし、補償額も複数事業場での賃金を合算して算定していたことは、つぎの「事務連絡」からも明らかだ。

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新聞報道(朝日本年6月23日朝刊)によれば、労働政策審議会でこの点についての議論を始めたとのことであるが、早期にかつての取扱いに戻すべきである。

2018年6月21日 (木)

部活顧問教師の過労死と給特法①

北陸のある県の市立中学校A先生が、長時間の部活動の下で脳血管疾患を発症し過労死した件が、先日公務上と認定された。
公立中学校の教師が、長時間の部活動を背景に過労死した件について、私が担当した件のみでもつぎの3件があり、A先生で4件に及んでいる。(参照
  認定年月   顧問の部       発症病名      公務上認定
①平成26年11月 バレーボール部顧問 虚血性心疾患(死亡) 大阪府支部長
②平成27年1月 軟式野球部顧問     急性心不全(死亡) 岡山県支部審査会
③平成27年7月 バレーボール部・駅伝部顧問 脳出血(救命)     高知県支部長

民間なら長時間の時間外・休日労働に従事すれば、時間外・休日についての手当が割増分も含めて支給されるのは、労基法上の常識。使用者がこれを支払わなければ労基法違反として6ヵ月以下の懲役、あるいは30万円以下の罰金となる。
では、公立学校では、この労基法の常識が通用するのか。過労死した教師には時間外・休日の割増賃金が支払われていたのか。否である。

公立学校の教職員については、給特法(正式名は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」)があり、限定された超勤4項目の勤務(生徒の実習、学校行事、職員会議、非常災害等)以外については、校長ら管理者から時間外・休日勤務は命じることができないこととなっている。
では、教師が時間外・休日にしている教材研究、テスト作成・採点、家庭訪問、そして部活動はどうなるのか。
驚くことなかれ。文科省も、更には裁判例の多くも、教師が自主的・自発的に行っている「勤務」であり、管理者の指揮命令下に行われる「労働」ではない、だから時間外手当等は支払う必要はないとしている。
僅か4%の教職調整手当の上乗せで、教師の勤務の専門性、特殊性(わかりません!)を理由にしてだ。
労基法の常識が、給特法により公立学校の教師については通用しなくなっている。
それが、コストのかからない教師の「不払残業」の下での長時間勤務が生じ、過労死を生んでいる。
この点については、更にこのブログで深めたい。

ところで、私がこのブログで一番述べたかったのは、A先生の公務上認定に尽力された、当時の県教組のB書記長のことだ。
B書記長は、A先生の過労死の公務上認定のために、書記長という重責を担うなか、寝食も忘れんばかりにA先生の勤務実態を明らかにするために取り組んだ。
私は、先の3件の中学校の部活顧問の過労死のみならず、教師の多くの過労死・過労自殺の公務上認定に取り組んできたが、教職員組合のトップたる地位(B書記長は、その後委員長に就任した。)にある人が、その中心となって公務上認定に取り組んだ例は聞いたことがない。多くは遺族の孤立した取り組みだ。
教職員組合のなかでは、書記長がそこまでとの批判めいた意見もあったとは聞く。
この、教師の命と健康ファーストの公務上認定の取組みによって、組合員・非組合員を問わず、教師の教職員組合への信頼が高まったことは言うまでもなかろう。

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