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« 政府案の三六協定では過労死は防止できない | トップページ | 過労自殺の労災認定に取り組むにあたってのポイント④
―発病後の出来事でも業務上と評価される場合― »

2017年2月15日 (水)

過労自殺の労災認定に取り組むにあたってのポイント③
―発病の時期の重要性―

過労自殺の労災(公災)認定を得るためには、被災者がうつ病等の精神障害を発病していることが要件であり、発病が認められなければ「覚悟の自殺」「故意の自殺」として労災の対象外にされてしまいます。

更に、発病が認められても、発病の時期がいつかという点も重要なポイントです。
認定基準は、いじめ・セクハラ等が継続していた場合等を除いて、原則として発病前6ヵ月間の出来事しか評価の対象としていません。
発病したとされた時期以降に強い心理的負荷を生じる出来事(長時間労働、仕事のミス、上司のいじめetc.)があっても、発病後の出来事として評価の対象外とされてしまいます。

発病の時期は、ICD-10に基づくうつ病等の症状が充足されたときとされていますが、本人が亡くなった後においてその時期を特定するのは困難な作業です。
精神科医の協力でその時期を明らかにしようとしても、その前提となる症状(抑うつ感、易疲労感、興味と喜びの喪失etc.)は家族や職場の同僚らの供述が重要です。
自殺する前の症状を細かく思い出して、強い心理的負荷を生じる職場の出来事の後に発病したことを明らかにすることが大切です。
発病の有無のみならず、時期についても、医学的判断以上に症状の事実認定が先行します。

認定基準も発病の時期の特定が困難であることを認めており、そのような事案については出来事後に発病したものと判断するとしています。
発病の蓋然性が認められる強い心理的負荷の出来事の後に、通常は発病が生じる当然の理を述べた定めと言えます。
しかし、被災者にとって発病時期の特定の立証を軽減させる定めであり、活用できましょう。

過労自殺についての発病の話の大切さについては、今後のブログでも触れていこうと思います。

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