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2017年2月24日 (金)

経団連会長の発言と東レの三六協定

報道によれば、「経団連の榊原定征会長は20日の記者会見で、政府の働き方改革実現会議で議論している残業時間の上限規制に関し、繁忙期は月100時間まで認めるのが望ましいとの考えを示した。一段と厳しく抑えるよう求める連合の主張に対し『実態と懸け離れた規制は企業の競争力を損なう。現実を踏まえた規制が必要だ』と反論した。」(毎日2月21日(火)朝刊)。

厚労省の過労死の認定基準では、発症前の時間外労働がおおむね月100時間を超えるときは、原則として業務上と判断するとしている。2ヵ月間ないし6ヵ月間のいずれかの期間で月当たりおおむね80時間を超えるときも同様だ。

日本の経済界を代表する経団連会長の発言は、過労死問題に取り組んできた弁護士として到底容認できない。

榊原会長の出身企業は東レだが、東レの三六協定(平成28年3月締結)はつぎのとおりだ。
所定労働時間基準で、特別条項は月100時間、年間900時間まで認められる協定だ。

貴方はどう考えるだろうか。

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2017年2月15日 (水)

過労自殺の労災認定に取り組むにあたってのポイント④
―発病後の出来事でも業務上と評価される場合―

前回のブログ(ポイント③)では、認定基準では発病後の出来事は原則として評価の対象外となることについて述べました。
しかし、認定基準は、例外的に、つぎに述べる「特別な出来事」が認められるときは、発病後の出来事であっても、業務上と判断するとしています。

【心理的負荷が極度のもの】
・生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした
(業務上の傷病により6か月を超えて療養中に症状が急変し極度の苦痛を伴った場合を含む)
・業務に関連し、他人を死亡させ、又は生死にかかわる重大なケガを負わせた(故意によるものを除く)
・強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシュアルハラスメントを受けた
・その他、上記に準ずる程度の心理的負荷が極度と認められるもの

【極度の長時間労働】
・発病直前の1か月におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行った(休憩時間は少ないが手待ち時間が多い場合等、労働密度が特に低い場合を除く)

また、裁判例のなかには、「特別な出来事」に限らず、認定基準で心理的負荷が「強」と評価される出来事が、発病後であっても認められるときは、業務上と判断するとしたものもあります。
裁判例では認定基準に基づきながらもより広く過労自殺について業務上と判断しているケースがあります。
発病後の出来事であったとしても、あきらめずに、訴訟まで頑張ることが大切です。

更に、発病しているにも拘らず、使用者が長時間労働等過重な業務に従事させたことについて、使用者の注意義務(安全配慮義務)違反を理由に損害賠償請求する道もあります。

詳しくは、お気軽に電話やメールでご相談ください。

過労自殺の労災認定に取り組むにあたってのポイント③
―発病の時期の重要性―

過労自殺の労災(公災)認定を得るためには、被災者がうつ病等の精神障害を発病していることが要件であり、発病が認められなければ「覚悟の自殺」「故意の自殺」として労災の対象外にされてしまいます。

更に、発病が認められても、発病の時期がいつかという点も重要なポイントです。
認定基準は、いじめ・セクハラ等が継続していた場合等を除いて、原則として発病前6ヵ月間の出来事しか評価の対象としていません。
発病したとされた時期以降に強い心理的負荷を生じる出来事(長時間労働、仕事のミス、上司のいじめetc.)があっても、発病後の出来事として評価の対象外とされてしまいます。

発病の時期は、ICD-10に基づくうつ病等の症状が充足されたときとされていますが、本人が亡くなった後においてその時期を特定するのは困難な作業です。
精神科医の協力でその時期を明らかにしようとしても、その前提となる症状(抑うつ感、易疲労感、興味と喜びの喪失etc.)は家族や職場の同僚らの供述が重要です。
自殺する前の症状を細かく思い出して、強い心理的負荷を生じる職場の出来事の後に発病したことを明らかにすることが大切です。
発病の有無のみならず、時期についても、医学的判断以上に症状の事実認定が先行します。

認定基準も発病の時期の特定が困難であることを認めており、そのような事案については出来事後に発病したものと判断するとしています。
発病の蓋然性が認められる強い心理的負荷の出来事の後に、通常は発病が生じる当然の理を述べた定めと言えます。
しかし、被災者にとって発病時期の特定の立証を軽減させる定めであり、活用できましょう。

過労自殺についての発病の話の大切さについては、今後のブログでも触れていこうと思います。

2017年2月 9日 (木)

政府案の三六協定では過労死は防止できない

三六協定の上限規制が月平均60時間、年間720時間の政府案に沿って「働き方改革実現会議」で意見集約していると報道されている。(日経2月2日朝刊)

過労死・過労自殺は、新たなプロジェクトの担当になるなど、業務が繁忙となった期間に生じている。

国の定めた過労死の認定基準は、発症前1ヵ月に月100時間、あるいは2ヵ月間ないし6ヵ月間のいずれかの期間で月平均80時間を超える時は、原則として業務上と判断すると定めている。

政府の検討案では、月平均で60時間だから、年間720時間を超えない限り、繁忙期には1ヵ月に限るものの月100時間、あるいは翌月と合わせて月平均80時間の時間外労働も可能な案となっている。

また、過労自殺した電通の女性新入社員は、時間外労働が2倍以上に増加して月100時間を超えた、との、過労自殺の認定基準に従って業務上と判断されている。

過労死・過労自殺を出さないため三六協定の上限規制の議論がなされてきたのに、政府の三六協定の検討案は過労死・過労自殺を防止するに足りるものではなく、かえってその現状を追認するものとの謗りを免れない。

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