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2016年12月16日 (金)

過労死ラインを超えた日本経団連
会長・副会長の出身会社(本社)の三六協定

私は、日本で過労死・過労自殺が生じる最大の要因は、「ブラック企業」においては勿論、電通はじめ「優良」と称されている「隠れブラック企業」においても労働時間の適正把握の懈怠の点にあることを、このブログでも再三述べてきた。

三六協定やコンプライアンスシステムも、この点が欠如していれば、狂った体温計では患者の病状を知ることができないのと同様、職場の長時間労働は把握できない。

現在は青天井となっている三六協定の特別条項の限度時間について、限度時間を定める法改正が検討されているが、まずは、適正な労働時間の把握をなすべきことを罰則をもって義務づける法改正である。

しかし、過労死ライン(厚労省の認定基準は、月平均80時間の時間外労働が2ヵ月間ないし6ヵ月間に認められるときは、過労死として認定するとしている。)を超える三六協定を放置することは、そのような長時間労働に対する労使含めての問題意識を稀薄化させ、規範意識を失わせる結果となる。

大阪で過労死に取り組む私たち弁護士は、10年程前に三六協定の情報公開訴訟に取り組み、判決で勝訴し、一部不開示部分はあるものの、その公開が認められるようになった。以降、私は、情報公開請求により三六協定ウォッチングをしている。

過労死防止法が施行され2年余り、各企業とりわけ日本を代表する日本経団連の会長・副会長の出身企業(本社)においては、過労死ラインを超えた三六協定は一掃されたと思っていた。
しかし、平成27年度(多くは平成28年3月に締結)の情報公開請求で得た、三六協定の特別条項で認められた職種別の最長の時間外労働の限度時間は、つぎのとおりだ。

Photo

会長の出身企業の東レをはじめ、16社中14社(日本生命については現在公開待ち)で、過労死ラインを超えた長時間労働を認めたものとなっている。

これをどう考えるか。

次回のブログでは、かつての日本経団連の会長・副会長の出身企業の三六協定と比較して検討してみる。

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コメント

大変興味深く読ませて頂きました。
私は病院の36協定を、労働局へ情報公開して調べています。その中にも、月80時間を超える特別条項が少なくありませんでした。最高は月150時間というものがありました。
病院も、医療従事者の善意に頼りきったブラックな職場が少なくありません。そもそも、我が国でこのような協定が合法であり、それを労基署が受理すること自体が異常なことだと思います。
過労死問題がここまでクローズアップされた現在において、労働時間を労使自治に任せておくことは危険だと強く感じます。

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