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最高裁調査官の、自己申告が過少になされることについての分析
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2016年11月16日 (水)

電通過労自殺事件を考える③

電通では 電通過労自殺事件を考える① のブログで書いたように、平成3年の故大嶋さんの事件では、監理員巡回記録や退館記録、今回の故高橋さんの事件ではIDカードによる入・退館記録があるにも拘らず、自己申告により労働時間を把握していた結果、心身の健康を損ねる長時間労働に対するチェック機能が働かなかったことが、事件が生じた重要な要因となっている。

労働時間の把握につき厚労省の通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」は、原則として使用者の現認あるいはタイムカード、ICカード等の出退勤の客観的な記録に基づき行うことを求めている。

使用者の現認は、小規模な会社で社長が他の社員より先がけて出勤し、全員が退勤したのち社長も退勤するような会社ならともかく、現実的な方法でない。
タイムカード、ICカード、あるいは正確性に欠けるがパソコンのログイン・アウトの記録(ログイン前やログアウト後に業務がなされることもある)等の客観的な出退勤の記録によって把握するのが、厚労省の通達をまつことなく、原則的かつ適正に把握できる方法であることは明白である。

仮に出勤後、退勤までの間に、昼の休憩時間以外に業務から解放された私的な時間があるなら、その時間を自己申告させる、即ち労働時間を自己申告させるのではなく、業務から解放された時間、即ち出勤から退勤までの間に取得した休憩時間を申告させる、電通のように自己申告を原則とするのではなく、出退勤の客観的記録(今回の故高橋さんの事件では入・退館記録)を原則として把握すべきなのだ。
IDカードによる入・退館記録の電磁データがあれば、社員の労働時間を日々把握することは容易であり、時間外労働が36協定の限度時間を超えたらパソコンの画面に黄色の表示、月80時間を超えたら赤い表示がされるようなシステムも容易に作成できよう。
その表示に従って、社員の労働時間の是正と産業医面接等、心身の健康上の措置を行うべきである。

自己申告と客観的な出退勤記録との齟齬は、過労死・過労自殺の温床を生んでいる。

厚労省の前記通達は、例外的に自己申告を認めているが、多くの会社では自己申告を原則としている。また、前記通達は齟齬が生じないための要件を定めているが、その要件を充足した自己申告制度を有している会社は、「優良」会社においても数少ない。
客観的な出退勤の記録に基づく労働時間を原則とすること、電通のような事件が繰り返されないためにも、また不払残業が生じないためにも、使用者には自社の労働時間の把握システムを再検討されることを求めたい。

また、厚労省に対しても、前記通達どおり、適正な労働時間の把握を客観的な出退勤の記録でなすことの厳しい指導を強化することを求めたい。

電通において、再び繰り返された事件を反省してまずなすべきは、自己申告でなく、出・退勤システムに基づく労働時間による把握を直ちに実施することである。

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