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最高裁調査官の、自己申告が過少になされることについての分析 »

2016年11月14日 (月)

電通過労自殺事件を考える①
再び繰り返された電通事件―2つの過労自殺事件の共通性

平成27年12月25日、故高橋まつりさんがクリスマスの日の朝に、母に「大好きで大切なお母さん さようなら ありがとう 人生も仕事もすべてつらいです 自分を責めないでね 最高のお母さんだから」とのメールを残して自ら命を絶った。

そのふた昔前の平成3年8月27日には、故大嶋一郎さんが同様に自殺している。この件についての損害賠償請求事件は最高裁まで争われている。

2つの自殺事件は、
・ともに被災者は24才であり、入社2年目の新入社員であったこと
・故高橋さんは、うつ病発病前の時間外労働は月100時間を超えており(故高橋さんの代理人の主張によれば130:56、労基署の認定によれば約105:00)、
故大嶋さんの発病前には勤務日の3日に1回は翌朝6:30に至る徹夜勤務であったことなど常軌を逸した長時間労働であったこと
・故高橋さんのツイッターによれば、部長から「君の残業時間の20時間は会社にとってムダ」「髪がボサボサ、目が充血したまま出勤するなよ。」と言われ、
故大嶋さんは、酒を飲めないにも拘らず、班のリーダーから靴の中にビールを注がれて飲むことを強要されたり、靴の踵でたたかれれるパワハラがなされている
ことなどの共通性を有している。

更に共通性として最も重要なのは、過少な自己申告がなされ、適正な労働時間の把握がなされていなかったことにある。

故高橋さんの件では、36協定の月70時間の限度時間を超えないようにするため、平成27年10月は69.9時間、同年11月は69.5時間の申告しかなされていない。代理人や労基署の労働時間の認定は入・退館記録に基づいている。
故大嶋さんの件についても、36協定の月60時間~80時間の限度内で、勤務状況報告による自己申告がなされており、監理員巡回記録や退館記録によって裁判所の判断はなされている。

電通自殺事件については、第4代社長の遺訓である、「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは」等による企業風土があることが指摘されている。
私は企業風土のせいとする考え方はこの問題を矮小化させることになると考える。

労働時間が適正に把握されることなく、過少申告がなされていたこと、それはどの「優良企業」の過労死・過労自殺にも共通することは、このブログの 過労死防止への課題 で述べたとおりだ。

故大嶋さんの事件から24年を経ても、電通においては、出・退勤の客観的な記録ではなく、自己申告による労働時間管理を継続していたことに、過労自殺が繰り返されたことの本質があると私は考えている。

ではなぜ、社員とりわけ新入社員では過少な申告がされるのか。つぎのブログでは、大嶋さんの事件での最高裁の調査官である裁判官の判例解説に基づき考えてみよう。

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