「ブラック部活」と教師の過労死
『季刊教育法』(エイデル研究所)の平成28年6月発行の最新号(189号)は「ブラック部活」を特集している。
このブログの「中学校の部活動顧問の過労死」でも述べたように、法的裏付けのないまま、教師の「聖職」意識と熱意に依存して、休日さえない長時間勤務の下で行われている部活指導。そのなかで過労死を含めた教師の心身の健康が損なわれている実態が続いている。
私もこの特集の座談会に加わるとともに、「運動部顧問の教師、長時間勤務の下での過労死」との寄稿をしている。
最近この問題は、マスコミ等でも取り上げられており、教育行政の側からもその是正の動きが生じている。
『季刊教育法』の特集の編集後記は、
『約50年前の中学校時代を思い出してみると、土曜日は弁当持参で、午後から部活動をしていたが、日曜日は友人と遊んだり、いやいやながら家の農作業の手伝いをしていた。日曜日に部活の大会が開かれることは極めて稀だった。
1970年代になって、あれよあれよという間に、学校生活の中で部活動が大きなウエイトを占めるようになっていく姿を、法学徒・教育学徒として眺めつつ、研究者となってからはその異常さに驚嘆することが多くなった。
誤解がないようにお願いしたい。本特集では部活動の意義を否定するものではなく、その異様に巨大化した部分があることを冷静に見ようではないかという趣旨である。熱心な方は「ゴルゴ13」に依頼し私を狙撃対象にしたいかもしれないが、敢えてカオス状態にある深刻な問題現象に、今後とも取り組んでいく。』
と語っている。
部活問題による教師の過重勤務と法的問題点を考えるにあたっての、大きな問題提起をした特集である。
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