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2016年7月13日 (水)

道路貨物運送業の過労死の認定率の高さの背景にあるもの

平成27年度の脳・心臓疾患の労災補償状況が、厚労省により発表された。
過去5年間の補償状況はつぎのとおりである。

          H23年度  H24年度  H25年度  H26年度  H27年度
決定件数     718      741      683       637      671
支給決定件数  310      338      306       277      251
認定率      43.2%   45.6%    44.8%   43.5%    37.4%

決定件数、支給決定件数ともほぼ横ばい、あるいは漸減しているのが気がかりである。
未だ認定請求されないままとなっている多くの過労死があるのではないか。
認定基準の下で、発症前6ヵ月間の時間外労働のみを評価し、業務の質的過重性に立ち入った判断がなされていないのではないか。

業種別にみると、道路貨物運送業の請求件数が133件、支給決定件数が82件であり、認定率が62%と、他の業種と比較して突出している。貨物運送業の運転手の過重な長時間労働がその背景にあることは確かだ。
国の定めた「改善基準」さえ、拘束時間が月320時間まで認められるものとなっている。
過労死防止のためには「改善基準」を、真に貨物運送運転手の労働条件を改善する内容に是正することは急務だ。

道路貨物運送業の認定率が高い理由として、タコグラフや運転日報等労働時間を適正に把握するための文書の作成が、貨物自動車運送事業法等の法律で義務づけられていることだ。これらの文書により、実態としての労働時間が、他の業種と比べて適正に把握できることが認定率の高さに反映していると言えよう。

なんとかの1つ覚えのように言うようだが、労働時間の適正把握こそが、過労死予防の最優先の課題であり、過労死の労災認定のためにも不可欠であることを、道路貨物運送業の認定率の高さは物語っている。

2016年7月 1日 (金)

「ブラック部活」と教師の過労死

『季刊教育法』(エイデル研究所)の平成28年6月発行の最新号(189号)は「ブラック部活」を特集している。

このブログの「中学校の部活動顧問の過労死」でも述べたように、法的裏付けのないまま、教師の「聖職」意識と熱意に依存して、休日さえない長時間勤務の下で行われている部活指導。そのなかで過労死を含めた教師の心身の健康が損なわれている実態が続いている。
私もこの特集の座談会に加わるとともに、「運動部顧問の教師、長時間勤務の下での過労死」との寄稿をしている。

最近この問題は、マスコミ等でも取り上げられており、教育行政の側からもその是正の動きが生じている。

『季刊教育法』の特集の編集後記は、
『約50年前の中学校時代を思い出してみると、土曜日は弁当持参で、午後から部活動をしていたが、日曜日は友人と遊んだり、いやいやながら家の農作業の手伝いをしていた。日曜日に部活の大会が開かれることは極めて稀だった。
1970年代になって、あれよあれよという間に、学校生活の中で部活動が大きなウエイトを占めるようになっていく姿を、法学徒・教育学徒として眺めつつ、研究者となってからはその異常さに驚嘆することが多くなった。
誤解がないようにお願いしたい。本特集では部活動の意義を否定するものではなく、その異様に巨大化した部分があることを冷静に見ようではないかという趣旨である。熱心な方は「ゴルゴ13」に依頼し私を狙撃対象にしたいかもしれないが、敢えてカオス状態にある深刻な問題現象に、今後とも取り組んでいく。』

と語っている。

部活問題による教師の過重勤務と法的問題点を考えるにあたっての、大きな問題提起をした特集である。

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