陸上自衛隊員の長時間勤務と過重な訓練による過労死事件の和解成立
過労死・過労自殺は、心身の健康を損ねる労働時間管理や業務管理について配慮が怠られている現場であれば、その職種を問わず生じている。自衛隊員についても例外ではない。
私は、陸上・海上・航空の各自衛隊員の過労死・過労自殺事件を担当している。
本年3月、広島地裁で係属中であった、中高年令者の陸上自衛隊員が、長時間勤務と早朝の寒冷下での持久走訓練が行われるなか、持久走訓練でゴールした直後に心筋梗塞を発症した事件についての国家賠償請求事件で和解が成立し、国がご遺族の妻に対し賠償金を支払うことで解決した。
この隊員には狭心症の既往があったにも拘らず、健康状態について配慮することなく、他の隊員と同様、過重な勤務に就くなか亡くなっている。
平成19年3月に亡くなった後、ご遺族の奥さんは、隊員としての過重な公務によるものと考え、陸上自衛隊中部地方総監に対して公務上の判定を求めたが、公務外と判定され、更に防衛大臣に異議申し立てをし、ようやく公務上との判定が下っている。
自衛隊員のパワハラ・いじめによる自殺事件が問題となっているが、隊員の年令や健康状態に配慮した勤務時間や訓練内容の検討が求められることを、この事件を担当するなかで感じた。
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初めてコメントいたします。時々ブログを見ていました。親族に自衛官がいますが…多いみたいですね。先日、某陸上自衛隊駐屯地のイベントがあり子連れでも楽しめるとの事で行ってきました。子どもがトイレと言うので建物の中に入りましたが、掲示板にメンタルが〜相談を〜などのポスターがたくさん貼ってありました。建物のあちらこちらに貼ってあって不気味でした。
投稿: 山梨ゆうこ | 2016年4月29日 (金) 20時04分