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2016年4月28日 (木)

業務外とされたときの不服申立の手続が改正されました

労基署長が業務外と判断してもあきらめないでください。各労働局の労災保険審査官(以下、審査官といいます)に審査請求ができ、審査官が業務外として審査請求を棄却しても、東京の労働保険審査会(以下、審査会といいます)に再審査請求することも、裁判で争うこともできます。

不服申立手続は、行政不服審査法等が改正され平成28年4月1日から施行されたことにより、手続が大幅に変更されました。改正のポイントはつぎのとおりです。(厚労省作成の改正前と改正後の手続の図表を引用しましたので、参考にして下さい。)

1.不服申立期間
・審査請求については労基署長の不支給処分を知った日の翌日から3ヶ月以内
・再審査請求については審査官の棄却決定を知った日の翌日から2ヶ月以内
とされていますから、この期間内に必ず不服申立して下さい。

2.不服審査手続の充実
口頭意見陳述の機会が、審査官でも、審査会でも、不服申立手続のなかで請求人に与えられ、その際請求人から労基署長(処分庁)に対する質問権が認められました。
また、労基署長から提出された文書等の一件記録の閲覧・謄写を求めることができるようになりました。

3.提訴にあたっての再審査請求前置の廃止
裁判の提訴については、それまでは審査会への再審査請求を前置することが必要でしたが、審査官の棄却決定がされた時点で、棄却決定を知った日から6ヶ月以内に提訴できるようになりました。
更に、審査請求をした日から3ヶ月を経過しても決定がされないときには、審査官が棄却決定したものとみなして、再審査請求をするか、再審査請求をせずに提訴することもできるようになりました。

このように、請求人にとって不服申立を充実させ、かつ早期に提訴できる改正がされていますので、これを活用していくことが大切です。

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2016年4月27日 (水)

中学校の部活動顧問の過労死

既にこのブログでも取り上げたように、私は教師の過労死・過労自殺の事件を担当していますが、中学校の部活顧問の過労死について、最近相次いで公務上認定を得ています。

  認定年月            顧問の部                  発症病名          公務上認定
①平成26年11月 バレーボール部顧問          虚血性心疾患(死亡)    大阪府支部長
②平成27年1月   軟式野球部顧問           急性心不全(死亡)       岡山県支部審査会
③平成27年7月   バレーボール部・駅伝部顧問   脳出血(救命)         高知県支部長

地方公務員の公務上外を認定する地方公務員災害補償基金によれば、過労死(救命を含む)の認定状況は、
   平成25年度  2件
   平成26年度  6件
と発表されています。

平成18年の文科省が行った大規模な教員勤務実態調査(http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=3261)によれば、通常期である10月(9月25日~10月22日)における中学校の運動部顧問の持ち帰りも含めた残業時間は、勤務日では2時間42分、休日では3時間53分となっており、1週間では、
  2時間42分×5(日)+3時間53分×2(日)=21時間16分
となっています(しかも、この残業時間のうちには、昼の休憩時間は実態としてはとれていないことは含まれていません)。

地公災の認定基準が定める発症前1ヵ月を超える「週当たり平均20時間程度以上の連続」を上まわる時間外勤務を、運動部の顧問は日常的に行っていることが、文科省のこの調査でも明らかになっています。

教職員給与特例法の下では、いわゆる超勤4項目以外は残業を命じられないことになっており、勿論部活動はその4項目に入っていません。にも拘らず中学校の部活動顧問が部活動の下、心身の健康を損ねる長時間勤務に従事し、現に過労死が、私が担当した分のみでも複数生じており、また、心身とも疲れ果て部活動顧問をやめる方法はないのかとの相談も寄せられています。

教師の過重勤務のなかでも、とりわけ中学校の部活動顧問の休日のない長時間勤務への対策は、その心身の健康を守る点からも急務です。

2016年4月 1日 (金)

陸上自衛隊員の長時間勤務と過重な訓練による過労死事件の和解成立

過労死・過労自殺は、心身の健康を損ねる労働時間管理や業務管理について配慮が怠られている現場であれば、その職種を問わず生じている。自衛隊員についても例外ではない。

私は、陸上・海上・航空の各自衛隊員の過労死・過労自殺事件を担当している。

本年3月、広島地裁で係属中であった、中高年令者の陸上自衛隊員が、長時間勤務と早朝の寒冷下での持久走訓練が行われるなか、持久走訓練でゴールした直後に心筋梗塞を発症した事件についての国家賠償請求事件で和解が成立し、国がご遺族の妻に対し賠償金を支払うことで解決した。
この隊員には狭心症の既往があったにも拘らず、健康状態について配慮することなく、他の隊員と同様、過重な勤務に就くなか亡くなっている。
平成19年3月に亡くなった後、ご遺族の奥さんは、隊員としての過重な公務によるものと考え、陸上自衛隊中部地方総監に対して公務上の判定を求めたが、公務外と判定され、更に防衛大臣に異議申し立てをし、ようやく公務上との判定が下っている。

自衛隊員のパワハラ・いじめによる自殺事件が問題となっているが、隊員の年令や健康状態に配慮した勤務時間や訓練内容の検討が求められることを、この事件を担当するなかで感じた。

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