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救命機会の喪失のケース
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2015年5月13日 (水)

喘息死の過労死としての労災認定(2)
―長時間労働等、過重な業務のケース―

厚生労働省は、過重な長時間労働等により発症したり死亡した場合の認定基準としては、脳・心臓疾患と精神障害・自殺について定めています。
また、平成26年に制定された過労死等防止対策推進法も「過労死等」の定義として、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」としています。

しかし、裁判所の判例では過重な長時間労働のなかで生じた喘息死についても業務上としているものが少なくありません。
私が担当した大手パン製造会社の41才の物流係の担当者が、長時間・夜勤交代勤務のなかで、持病である喘息の症状が悪化し喘息死したケースにつき、東京地裁は業務上とし、東京高裁もこれを支持し確定しています。(東京地裁判決は判例タイムズ1358号113頁)
他にも過重な長時間労働のなかでの喘息死を業務上として認めた判決にはつぎのようなものがあります。

1 名古屋東労基署長(住友電設)事件
  1審 名古屋地裁 平成11年9月13日判決 労働判例776号8頁
  2審 名古屋高裁 平成14年3月15日判決 労働判例827号127頁
この事案は、電気設備工事技師として勤務していた当時42才の男性労働者が、自宅において就寝中に重篤な喘息発作を発症し、それによる呼吸不全で死亡したものです。

2 中央労基署長(新太平洋建設)事件
  1審 東京地裁 平成14年12月12日判決 労働判例845号57頁
  2審 東京高裁 平成15年9月30日判決 労働判例857号91頁
この事案は、建設会社で現場監督業務に従事していた当時30才の男性労働者が、通院した病院の受付で喘息発作を発症し、心不全により死亡したものです。

3 小樽労基署長(小樽中央自動車学校)事件
  1審 札幌地裁 平成20年3月21日判決 労働判例968号185頁
  2審 札幌高裁 平成21年1月30日判決 労働判例980号5頁
この事案は、自動車教習所の39才の教官が、過重な長時間労働により症状が増悪し喘息死したものです。

このように、判例は過重な長時間労働と喘息の症状の増悪、それによる喘息死との相当因果関係を認めています。
厚生労働省は、喘息死も「過労死等」のうちに位置づけして、認定基準を定め救済の対象とするべきです。

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