2023年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« 喘息死の過労死としての労災認定(2)
―長時間労働等、過重な業務のケース―
| トップページ | 過労死問題を「大河内理論」から考える »

2015年5月20日 (水)

てんかん重積死を過労死として認定した労働保険審査会の裁決

私が過労死として労災認定を得たもので、てんかんの重積発作による死亡につき、労働保険審査会が平成21年4月に業務上と判断した事案がある。

事件を担当してのち、てんかんの発作と長時間労働等業務の過重性について、2名のてんかんの専門医の意見を聞きに出向いたものの、いずれもデータがなく困難であると意見書の作成は断られてしまった。ワラをもつかむ思いでたどりついた3人目の医師に、ようやく検討してみましょうとの回答を頂いた。

被災者は50才代の交通誘導の警備員であったが、発症前の勤務状況は、発症直前の2月7日は、午前8時から午後5時までの日勤を終え、自宅で夕食を摂った後、午後8時から翌8日の午前5時までの夜勤を行い、それに引き続いて午前8時からの日勤に従事して午前12時頃発症したものである。それに遡り、同月2日は日勤から夜勤を行っており、夜勤明けの3日も夜勤を行い、これに引き続いて4日に日勤を行い、1月23日には日勤→夜勤、夜勤明けの同月24日は夜勤→日勤(25日)→夜勤→日勤(26日)を行っている。また、同月20日から同月22日にかけて、日勤→夜勤→日勤→夜勤の連続した勤務を行い、同月16日から17日も、日勤→夜勤→日勤の連続した勤務を行っていた。このような勤務により、発症前1か月(2月7日~1月9日)の時間外労働時間は102時間となっていた。
長時間・不規則・夜勤と業務による負荷要因が重なっていた。

審査会の裁決書は、てんかんの重積発作と業務との関係につき、「てんかん発作の誘引因子について、A医師は、睡眠不足、疲労があることは広く知られているとし、B医師も疲労時、睡眠不足時、体調不良時に起こりやすいとしており、C医師も、睡眠不足が考えられるとし、D医師も睡眠不足や過度の疲労等が知られているとしている。」としたうえ、「てんかんは、大脳のあらゆる疾患によって引き起こされているとされており、多くの場合はその誘因が不明確で偶発的に出現するとされている。このため、その出現は内因によるものとして、多くの場合業務との関連が認められることはない。しかし、各医師が指摘するように、睡眠不足が発作を誘発することは、医学的には古くから知られており、異常脳波を賦活する一方法として断眠がある。」としている。

そのうえで、「被災者の発症前2か月間の勤務は、実質的な休日は1日もなく、日勤から夜勤、更には日勤と熟睡の暇のない不規則な連続勤務が続き、加えて100時間を超える時間外労働を行い、一般的労働者にとっても極めて過重な業務であり、被災者は、明らかに業務による極度の睡眠不足からくる断眠に近い状態で疲労の蓄積があったものと認められ、このような睡眠不足・過労の状態が継続した直後に本件疾病を発症したものである。」として、被災者のてんかん重積発作による死亡を業務上と判断した。

労働者の健康障害や死亡と業務の過重性との関係で考え、それを裏づける医学的知見を得て、あきらめることなく取り組んだことによる成果だった。

Photo_4

« 喘息死の過労死としての労災認定(2)
―長時間労働等、過重な業務のケース―
| トップページ | 過労死問題を「大河内理論」から考える »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: てんかん重積死を過労死として認定した労働保険審査会の裁決:

« 喘息死の過労死としての労災認定(2)
―長時間労働等、過重な業務のケース―
| トップページ | 過労死問題を「大河内理論」から考える »