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2015年1月14日 (水)

過労死防止への課題

【労働時間の適正把握なくして過労死防止なし】
昨年過労死等防止対策推進法が過労死・過労自殺の遺族を中心とした運動で制定された。
過労死防止のため最大の課題は何か、過労死事件に多く取り組むなかで得た私の結論は、『労働時間の適正把握なくして過労死防止なし』である。私が最近担当した実例に基づいて考えてみよう。(注;時間はいずれも時間外労働時間)

【九州の地方銀行のシステム開発を担当していた銀行員(40才)の自殺】
3人の幼い子を残して投身自殺している。多くの過労自殺の被災者がそうであるように、うつ病を発病したのち、遺書には過酷な長時間労働に従事させた銀行への怒りはなく、かえって銀行・上司に謝りながら自殺に至っている。発病・自殺前の勤務時間は、
              自己申告      実態(パソコン等)
H24年7月   34:30      109:48
         8月   38:30      129:45
         9月   60:30      168:16
となっている。

【鉄道会社の総合職社員(28才)の自殺】
この事案についても、
               自己申告   実態(パソコン等)
H24年3月   72:45      254:49
         4月   39:15      148:51
         5月   35:30      113:43
         6月   44:00      162:17
         7月   45:00      141:09
         8月   40:15      130:32
         9月   35:15      162:16
となっている。

【ファミレス店長代行(25才)の過労死】
勤務予定である稼働計画は絶対性を有するとの社長の指示の下で、IDカードを稼働計画に従って打刻していた若年の店長代行については、
               稼働計画    実態(警備記録)
H22年10月   41:07      142:12
         11月   60:15      151:49
         12月   52:32      128:26
となっている。

【過労死防止の大切な第1歩)】
過労死・過労自殺の背景には必ずと言ってよいほど、社内で労働時間が適正に把握されず、自己申告と実態としての労働時間に著しい食い違いが生じている。
過労死を担当する弁護士としてはこの「隠れた」労働時間をいかに明らかにするかに力の多くを費やすことになる。また、実務としての長時間労働が把握されていない現場では、長時間労働により労働者の心身の健康を損なわないようにするためのコンプライアンス(法令遵守)が機能しない。
過労死防止の第1歩は労働時間の適正把握から始めなくてはならない。

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